ままここmamacoco

アラフィフにして、フリーランスに転向したHSP女は果たしてフリーとして生きていけるのか?

古代のスーパーヒーロー、スサノオノミコト

古代のスーパーヒーロー、スサノオ

 

今回はスサノオについて語っていきたいと思います。

まずはスサノオの名前について簡単に説明しますね。

『古事記』では建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)
『日本書紀』では素戔男尊(すさのおのみこと)


このように漢字表記が『古事記』と『日本書紀』では違いまして、『古事記』では”須佐之男”と書かれますが、『日本書紀』では”素戔嗚”と書かれます。
『古事記』での”タケハヤ”は、英雄に贈られる賛辞で、猛々しい様子をあらわしています。

この『古事記』の方の”須佐之男”は、”須佐”という地名からという説もありますが、激しい意味をあらわす風がふきすさぶの”すさぶ”のスサではないかという説や、”佐”の字にたくましい意味もあることから、かなり好印象な漢字をあてています。

一方『日本書紀』での素戔嗚は、”戔”の字に卑しい意味がこめられていますので、
編集した側のスサノオにたいする意思が『古事記』と『日本書紀』では違うのですね。


さて、スサノオが『古事記』で登場するのは、前回のイザナギの禊(みそぎ)の話しからになります。

『イザナギ・イザナミ』と八百万の神さまのお話 - ⇒いにしえとこしえ⇒

 

黄泉の国から命からがら戻ってきたイザナギが、「筑紫の日向の橘の小戸のアハギ原」(つくしのひむかのたちばなのおどのあはぎはら。長いですね(>_<)日向ですから宮崎県と思われますが、場所はまだ特定できていません。)

まあ、そこで禊をしました。


そして禊をするたびに前回さまざまな神が生まれいでたように、またさまざまな神を生みだします。

 

男なのにね。

そして最後に、イザナギは偉大な三柱の神さまを生みました、というところからです。

 

≫左の眼を洗ったときに生まれた神の名は、アマテラス大御神(オオミカミ)、

 右の眼を洗ったときに生まれた神の名はツクヨミノミコト

 鼻を洗った時に生まれた神の名は、タケハヤスサノオノミコト

 

ここで、スサノオの登場になります。


イザナギは、
アマテラスには高天原(タカマガハラ)を治めるようにいい、
ツクヨミノミコトには夜食国(よのおすくに)つまり夜を治めるようにいい、
スサノオには海を治めるようにいいます。

 

しかしスサノオは海を治めることをまったくせずに、ずっと泣きつづけ、あげくのはてに

「母のいる黄泉の国(死者の国)に行きたい」

と、とんでもない駄々をこねます。


その駄々をこねた結果、世界がどうなったかがすごいのですよ。

 

≫長いひげが胸にたれさがるほど年をとっても泣いてばかりで、彼が泣くことで青々とした山は枯れ、海や川は干上がり、悪神、悪霊がそこらじゅう荒れ狂う轟音が、まるでハエが飛び回るように国中に満ち、世の中災いばかり起きるようになった≪

 

スサノオはなんと、この兄弟のうちで異質な存在として、かなり問題児として登場します。

泣いてわめいただけで、世の中災害がおきるわ、悪霊だらけになるわ。

 

この神様は、世の中にどれだけの影響力があるというのでしょう。


父イザナギのいうことをまったくきかず、暴れ、世の中をめちゃくちゃにし、挙句の果てに黄泉(地獄)の国へ行きたいなどという、とんでもないきかん坊、スサノオはまだまだ暴れます。


さらにはこのあと有名な天岩戸神話へと続くのですが、あのアマテラスが岩戸に閉じこもってしまった原因も、じつはこのスサノオにあります。

アマテラスの天狭田(あまのさなだ)の田んぼ、種を捲いたところにさらに捲き、あぜ道を壊して歩き、秋の収穫時期に馬を放してめちゃくちゃにし、またはアマテラスが大事な新嘗祭を行っている最中にうんちをしてまわったり、また神聖な機殿(はたどの)で女の子が機をおっているときに、馬の皮をはいで放り込んだりと、かなりひどい行動をします。

このとんでもない男、スサノオはなぜこんなにも異質な存在として登場するのでしょう。


実は結論からいいますとアマテラスとは別の神話の神さまと言われています。

 

本来この場所にふたり一緒にいるのはおかしな存在なのです。

それはこの神話の部分が、あとづけで、スサノオとアマテラスをくっつけ、天皇の先祖であるアマテラスより、スサノオを下に置きたい、という意志があったからと言われています。

 

それが証拠に、この後罰を与えられたスサノオは、地上に降り立ったとたん、あのきかん坊で暴れん坊の姿はどこへいったのか、突然正義のヒーローになります。

 

ヒーロー譚・その1

「ヤマタノオロチ退治」

高天原(たかまがはら)を追放されたスサノオは、出雲の国の肥の河上に降り立ちます。

そこでヤマタノオロチに娘を生贄に出さねばならないという老夫婦に出会い、オロチを退治をするから代わりに助けた娘、クシナダヒメとの結婚を要求します。

今までのただ乱暴だったはずのスサノオは、おどろくほど巧妙な作戦を練り、みなに指示を出し、勇ましくヤマタノオロチ退治を果しました。

そしてオロチの尾から、後の三種の神器のひとつになる、”草薙の剣”を手にします。この剣は高天原へと奉納しました。

 

ヒーロー譚・その2「木の神さまとしてのスサノオ」

(この話しは『古事記』にはみられず、『日本書紀』『先代旧事本紀』の記述になります。)

スサノオは韓国(からくに)の島には金銀がある。我が子の治める国に舟がほしかろうと言い、髭を抜きはなつと杉の木になった。胸の毛はヒノキに、尻の毛は槇の木に、眉は樟になった。

それらの木の種は、スサノオの子ども五十猛命らによって、日本中に捲かれた。

子どもの五十猛は紀国にお祀りしてある。



スサノオは、地上に降り立ったとたん、オロチ退治をしたり、木の神さまのごとき行動をとったり、よほどの改心をしたのか、それともまったく別の人格になってしまったのか、どちらかと思われます。

 

おそらく、スサノオのこのヒーロー譚が、『古事記』編纂よりもっと古くから民衆に口伝えで長く語られ、神として讃えられてきた伝承なのでしょう。
本当に、この地上で活躍するスサノオの姿は生き生きとし、民衆に愛されていたのが感じられます。

今回は天岩戸神話は簡略化していますが、そちらはまたアマテラスの段で語りたいと思います。

 

スサノオが民衆に非常に愛されていたことが分かったところで、本日はここまで。


今回は古代のスーパーヒーロー、スサノオという神さまを覚えてくださいね。

それでは、また。

てらっちでした♪