静岡の掛川には平将門の首塚があるのを、もっと大きくアピールしたい。
先日バスに乗っていたら、「十九首」という地名を見て、車内のおばちゃんが「なんて読むんだろうねえ？」と言った。どうやら愛知県から来ているらしいその女性二人組。一人がその奇妙な名前に首を傾げた。
「じゅうくしょって言うんですよ。「しゅ」ってかくけど、なぜか地元の人は「しょ」って言ってます」
と私は横から二人の会話に口を出し、ついでにトリビアを一つ追加した。
「ここ、平将門の首塚なんですよ。19人の同志と一緒に。だから十九首」
と言ったら驚いてらした。（今考えると、仲間は18人か……）
そう、私の住む掛川市内には、平将門の首塚がある。
首を洗った「血洗川」なんて物騒な名前の川もある。その名の通り、首をその川で洗ったらしい。
町としては取り立てて大きく発信していない気がする。
なぜなら、首塚はずっとこの街にあるし、その町ではお彼岸とお盆とちゃんとお坊さんを呼んで供養しているくらいで、あるのが当然て感じで、街中でお祭りとして「首塚様のジュウクショ！」と年に一回賑やかに騒いでいるから、みんな知ってるだろうって感じなんだろうか。
でも、もっとこれ世間に大きく言っていいんじゃないかと最近思うのだ。
あの、京都の六条河原にさらされて、それがビューンと東京まで飛んでくと言う、飛んでく首でおなじみの？平将門だよ？
神田じゃあその首塚を動かそうとすると事故が起きたなど祟り神として有名だ。
なんとなく、東京神田の方が有名ではあるし、真実味があるから怪訝な目をして見られるかもしれない。
しかし、19人の首級と一緒に祀られているんだから、きっと当時はよほどの異常事態で、こりゃ大変だと祀ったに違いない。だから、地名にもなっていると思われる。よほどのことがあったために「血洗い川」なんて名前の川もあるのだ。
これが昨日今日の嘘ではないということは、わかる。
で、それが本当なのかって話になるんだけど、どうも伝えられている伝承だと、時系列がおかしいのでイマイチ「静岡は信憑性がないんじゃない？」と突っ込まれやすい節がある。
この伝わっている伝承が、ちょっとおかしいのだ。
だから本腰を入れて発表できないのではないかと推測しています。
歴史上では、2月に平将門が殺されて、そこから家臣の首と一緒にえっちらおっちらと京都に運ばれ、7月あたりに六条河原で首を晒されている。（すみません、アバウト情報です）そこから、神田明神へ飛んでったことになっている。
一方、こちらの首塚に書かれている伝承によると、関東から持って来た首を京都に運ぶ途中、この掛川で供養してほしいと頼まれ、そのままこの血で供養したと言うことになっている。
だいぶ昔に一度記事として書いたんだけど、この伝承を伝える十九首の首塚様にある看板には、間違いが書かれているんじゃないか？と私は思っている。
六条河原で晒されたことの方が大々的に歴史に残っているから、京都へ行く途中、京都へ行かずにこの掛川で供養したって言うのは、どうしても辻褄が合わない。
でも、これは時間をもう一度考え直すと、全て綺麗に解決するのだ。
2月に将門が殺される。
そして7月に京都の六条河原で晒される。
そこまではいい。
そして、誰かがその首を全部集めて運んだのだ。
それが静岡に来て供養したのが8月15日。
（伝承では静岡に来たのは8月15日との記載がある）
関東から運ばれてきた首ではなく、六条河原から運ばれた首だと考えると、綺麗さっぱり解決するのだ。時系列もスッキリ。なんのおかしいところもない。
空を飛んだと伝えられた首は、突然誰かに運ばれたために、消え失せたところから「飛んだ」となったのではないか。
19人の首を運ぶのはどう考えても目立つしすぐに捕まるだろうから、運んだ人物は、静岡まで来て供養してもらう方向に変更したのかもしれない。
10月に行われる秋祭りでは、首塚の縁で、神田明神の手踊りをやっているようで、この流れがどうしたものかはよくわからないんだけど、（あっちも首塚があるじゃない？どっちが本物って揉めてないのが、私には謎）
と大きく打ち出してみたらどうだろう？
なんてバスの会話から思ったのでありました。
